"TANTALIZE"

geter様以外の持ち帰り厳禁!! 鳥様へ>>>1,234,567 hit

 正直な話、俺は結構セックスが好きだ。
  相手は娼婦ばかりだったし、メリアドラスと出会う前は抱かれる側ではなかったけれど、基本的に気持ちのいいことが好きなのは変わらないと思う。
  けれど別に色情狂ではないから、溜まったら発散しに行くというパターンが多かった。社交界に出ていた頃は、独身で後腐れのない女性であれば誘いに乗ることもあった。だから性生活にそれ程困った思い出というのはない。
  思えば完全に性欲処理だった。一晩の相手に愛着は感じても、それはそれだ。ギブアンドテイク。
  だがメリアドラスと関係を持って、セックスの意味を知った気がする。愛されるということ、その心地よさ。求められ、奪われるということ。同じように求め、奪うこと。
「あ…、っ…ん、…ぅ」
  聞いていて未だに慣れない嬌声は、本来自分が相手に上げさせていたものだ。途中で投げ出されたチェスはテーブルの上で勝敗のつかないまま放置されている。カウチの上で、片足にスーツのパンツと下着をまとわりつかせたまま両足を開かされ、その中心にはメリアドラスの頭が上下に揺れていた。
「…ん、ァ…」
  メリアドラスの唾液と自分がはしたなく零す体液に濡れた音を立てながら、快楽を得る事を覚え込まされたそこに指が潜り込んだ。もう何度もされているけれど、身体の中を荒らされる時はわずかに恐怖を感じる。自分が作り替えられてしまう感覚。乱れるままに求めてしまうという予感が入り交じる。
  愛する相手に触れられているのと、娼婦達と触れ合うのでは雲泥の差だ。羞恥と期待。一つに繋がるという陳腐な言葉は、けれど嘘ではない。
「悦さそうだな」
  くつり、という笑い混じりの囁きは、地肌に振動となって愛撫した。その低く響く囁き声は嫌いじゃない。普段は紳士然とした声に、この時ばかりはあからさまな欲望が混じる。
  俺は抱き込んだクッションに顔を埋めた。蝋燭やランプが煌々と明るい室内で、メリアドラスを直視出来るほど神経は太くない。恥ずかしい。ひたすらに。
  雄芯を舐られ、指で探られ、声にさえ煽られ、熱の燻る身体は貪欲だ。久しぶりの逢瀬という訳ではないけれど、一度火が付けば抵抗は難しい。
「は…ッ、あ、ぁ…!」
  既に熟知したメリアドラスは、指を増やした。肩を震わせるカグリエルマの身体を丹念に溶かしていく。
「…メリぃ」
  このままでは達してしまう。イくなら、もっと違うもので。そんな願いを込めた囁きを正確に読み取ったメリアドラスは、にやりと笑った。
  濡れた音が響く。名残惜しそうに引き抜かれる指に、背筋が粟立つ。カグリエルマがなんとか呼吸を整えようとした、その瞬間のことだ。
  室内の灯りが、一瞬消えた。本当に瞬きの間の出来事だったが、瞼を閉じていたカグリエルマにも解った。
「!?」
  鳥肌が立った。快感ではない。寒さと勘違いするような警戒心で、だ。
  異変に気付いたとき、メリアドラスの舌打ちが聞こえたような気がした。だが瞼を開いたそこには、既に誰も居なかった。
「…は?」
  間抜けなカグリエルマの声に、返ってくる応えはない。
「メ、…メリアドラス?」
  つい先程感じたものは殺気だ。それもメリアドラス本人の。新手のプレイでも始めたのかと一瞬考えたが、彼はその性を表す魔物の殺気をカグリエルマに見せる事は殆どない。
「……マジかよ」
  煌々とした室内で両足を広げたまま、昂ぶった身体を嫌々見下ろしたカグリエルマは複雑な心境に陥った。怒りというよりは困惑が強い。
「っ…つうか、これどうすんだ。今更俺一人で抜けるほど安い身体じゃねぇぞ…」
  シャツのボタンを留めながら吐き出した溜め息は、熱を引きずったままだ。独り言で無理矢理散らしているけれど、一度灯された火は中々消えそうにない。冷たいシャワーでも浴びよう。無理矢理鎮めなければならないことが歯痒い。
「おや、僕が手伝ってあげましょうか?」
  無防備そのものだったカグリエルマに、突然声がかけられた。かっちりと身に纏った燕尾服は執事を絵に描いたよう。ウィラメットだ。
「な…、おま…」
「メフィストが来なくて正解でしたね。彼女は部屋に引きこもってしまいましたよ」
  必死にシャツの裾を引き下げて下半身を隠すけれど、恐らく意味はない。見られて悲鳴を上げるような清純さはないし、メリアドラスと睦み合っている最中を目撃されていることさえある相手だ。だからといってさらけ出す気もないが。
「我が主も酷なひとだ。そんな状態の貴方を置いていくなんてね」
「黙れ。自分で何とかする。それより何があった」
  さりげなく凝視は避けてくれるウィラメットに、したくもない感謝を感じながら、カグリエルマは素っ気なく尋ねた。
「…薄々察しているのでしょう?」
「……」
  メリアドラスがあの状況にあって姿を消すような理由など、一つしかない。魔族でもあるメリアドラスを抜かせばこの世界で天辺にいるメフィストが自分の部屋に逃げ込んでしまうような事態。十中八九間違いない。
「あの親父か」
「……僕にはとても言葉に出来ない相手です。が、貴方をラス様の元へ連れて行く位の事はしてあげてもいいですよ」
「随分気前が良いな。裏でもあるんじゃねぇのか」
「それは勿論。貴方をこの城に放置しておくより、あちらへ押しつけた方が安全だからです。僕たちが」
「…そーかよ」
  恐らくその言葉に嘘はない。
  カグリエルマは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
  このニュクスに、メリアドラスより上位の魔族が訪れたのだ。出会う機会は殆ど無い相手だが、奴ならばメリアドラスが姿を消す理由に十分だ。
  自分より優先順位が高いというのは嬉しくないが、相手はどこぞの馬の骨とは訳が違う。大局を見れば、メリアドラスはカグリエルマを護る為にもあちらを優先にしたのだろう。理屈は解るが、やはりそれでも今の自分の状態では若干嫉妬心が湧くのは仕方がない。
  むしろ狙ったようなタイミングで現れてくれた相手に殺意すら覚える。
「…ここに来なかっただけ許してやるが」
「はい?」
「何でもない」
  カグリエルマは複雑な心境を押し込めて長嘆した。まだ十分に燻っている。
「シャワー浴びてくる。そしたら連れてけ」
「早めにお願いします」
「…くそ」
  悪態は虚しく響いた。

 

***

 

「帰れ」
  メリアドラスは開口一番命令を下した。
  ここは彼の居城から大分離れた郊外の館。その一室に、彼とそっくりな人物が我が物顔で居座っている。まるで自分が主だとでも言わんばかりの態度だ。
「ご挨拶じゃねぇか。せっかく邪魔しないよう来たのに、お前が追って来てりゃ世話ねぇな」
「私はお前が境界越えをする事を許可した覚えはない。する気もないが」
「芳醇な香りだ。熟れ頃を逃すなんざ、俺の息子失格だぜ?」
「ねぐらに帰れと言っている」
「それともわざとか?放置プレイ?俺を小道具扱いとはな」
  噛み合わぬ会話は、寒々しい。この世界の王と、混沌と魔族の王。彼らの外見的な違いは、瞳の色や髪と耳の長さ位だ。
  先にさじを投げたのはメリアドラスだった。踏ん反り返る相手の背後にひっそり佇む銀髪の青年に視線を向ける。
「アル、その害虫を連れ帰ってくれ。迷惑この上ない」
「巫山戯んなお前。まだその名で呼ぶ――」
「すみません、メリアドラス。一応止めたんですが、私の言葉を聞くような相手だったら、そもそもお邪魔してませんので」
  魔の全てを司る王であるノイズフェラーの言葉を堂々と遮ったアルヴィティエルは、元天使だというに相応しい清らかな微苦笑を浮かべて見せた。
  悲しい事実だが、メリアドラスは目の前の二人に勝てない。総力戦で挑むのならばまだしも。もっとも、どちらかといえばアルヴィティエル相手のほうが属性的に苦戦しそうだ。だから、ニュクスの主として見過ごせないという正当な退去命令ではあるが、最終的に妥協しなくてはならない事実が歯痒かった。彼には護りたいものがある。
「それに、途中でこちらに来なくてもきっと大丈夫でしたよ?その程度の時間、私がノイズを抑えておきます。さすがにカグラが可哀想かと」
「暇つぶしにはアルヴィティエルを啼かせれていればいいしな」
「ご遠慮いたします」
「避暑地でやることは一つだろ?」
  己の要求は通りそうにないし、目の前で広げられそうな痴話喧嘩の気配に、流石のメリアドラスですらこめかみに苛立ちが浮かんだ。避暑地とは何だ。避暑地とは。
「二人とも帰れ」
  指摘されなくとも、カグリエルマにしてしまった事は自分にとって屈辱的な事だ。思い出すだけで腹立たしいし、申し訳ないし、勿体ない。自分がカグリエルマなら、生まれ故郷に帰りたくなる。帰りたい故郷など無いが。
「まあ、そう言わず。カグラに見せてあげたいお土産がたくさんあるんです」
  敢えて見ないようにしていた、部屋の片隅を占拠する何かの山を、アルヴィティエルは指さした。
  メリアドラスは怒りに荒れ狂う感情を必死に押さえ込んだ。眉間に皺が寄る。一度固く瞼を閉じた。無性にカグリエルマを抱きたい。試合放棄をしてしまった自分の行為が今更ながら悔やまれる。願わくばカグリエルマが故郷に帰っていませんように。月は満月ではないが。
  世界は自分の躯だ。望む者が何処にいるかなど、念じずとも解る。カグリエルマは城を出ている。傍にウィラメットの気配。どうやらこちらへ向かっているらしい。そう時を待たず訪れるだろう。後日ウィラメットに何か褒美をやろうと思った。メフィストに次ぐ力を持った彼は、魔物でありながら魔王をそれ程畏れていない。好む訳もなく勿論嫌悪しているし積極的に関わる事も無いのだが、何かあればメリアドラスのために魂を差し出す事を喜びとしている。捨て駒に使われる事すら厭わないだろう。
  目の前の魔王と堕天使に構う事がどれだけ不毛なのかと漸く納得したメリアドラスは、声もかけずその場から消えた。カグリエルマを迎える為だ。この場に戻りたくはないが、選択はカグリエルマに委ねようと思う。拗ねた子供のようにやさぐれていた。
  館を見渡せる丘の上にひっそりと佇めば、カグリエルマを馬の前に乗せたウィラメットが姿を現した。タンデムならまだしも二人乗りとは許し難いが、早さの為に手段は選んで居られなかったのだろう。顔には出していないが、一刻も早くこの場を立ち去りたいとウィラメットの気配が語っていた。
「それでは僕はこれで」
「良くやった」
「有り難き幸せです。同乗の件には目を瞑っていただけると幸いですが」
「解っている」
  そのまま蝙蝠の群へと姿を変えたウィラメットが、一目散に城の方へ飛び去っていく。
  置いて行かれたカグリエルマは何処か所在なさげに馬の胴を撫でていた。黒のナイトメア。メリアドラスが鼻先を撫でるといななきを返して愛馬も城の方角へ足を向けた。
「………」
  無表情のカグリエルマを見下ろしたメリアドラスは、まず何と声をかけて良いのか迷った。怒っているのか、拗ねているのか、読み取ることは難しい。もし最大級に怒っているとしたら、そもそもカグリエルマはこの場に来ないだろう。希望的観測かもしれないが、メリアドラスはそう思った。
  先程とは違う姿だ。フロックコートを羽織っているが、ベストもタイも巻かずシャツを乱暴に留めただけ。正直に言えばなかなかそそる。
  腕を伸ばして抱き込めば、その髪も肌も冷たかった。
「ん…、こら、駄目だ」
「すまない」
  慌てて漏らされたカグリエルマの声色は、肌の冷たさに反比例するような甘さを含んでいた。メリアドラスは耳ざとく察知した。身動ぐ仕草がぎこちない。この場で先程の熱を呼び戻してしまいたくなる。腰と背中に腕を回して、抵抗する身体を強く抱いた。
「止めろって、せっかく冷ましてきたんだよこの馬鹿野郎が」
  まるで縋り付くみたいなメリアドラスに、カグリエルマは毒気を抜かれてしまった。恐らく正しいだろう予測相手と対峙したメリアドラスは、精神的に弱る。そんな彼に怒りを向ける事など出来ない。完全に許してやるほど心は広くないけれど。
「悪いことをした」
「…あー、うん。いや、何となく解ってるから。だからとりあえず放せ、メリー」
  正直このままメリアドラスの腕の中にいると不味い。かなりいい所まで引き上げられた熱を無理矢理冷まして来たのだ。燻っているだけで、燃やされてしまえば意味はない。しかも、こんな見晴らしのいい場所で。
  衣服越しでも、彼の身体を思いだしてしまう。呼吸をすれば感じる体臭とか、わずかに乱れたままの姿は、カグリエルマと違って先程のままだ。いっそ城へ戻ろうとでも誘ってみたくなる。
  首筋に感じる唇の気配に焦り、カグリエルマは力一杯メリアドラスを押し退けた。不服そうだが、甘やかせる状況ではない。自制も兼ねて、睨み付ける。
「で?親父さんが来たんだな?」
「…ああ。おまけ付きでな」
「ミストも?」
「そうだ」
  途端にカグリエルマの顔色が変わった。顰め面から笑顔へ。それがどこかメリアドラスには面白くない。
「なら、ま、いいだろう。正直お前とあのオッサン相手にするのはしんどい。ミストも居るなら大丈夫だろ」
  その根拠は何処から湧いてくるのか一度聞いてみたいものだが、メリアドラスは大人しく黙った。

 

***

 

「うわっ、スゲェ!何これどうなってんの」
「ホログラム、というそうですよ。魔術じゃなく、人間が作り出したものです。陽光があれば半永久的に動くそうですが、ここでは内臓電池が尽きれば消えてしまうのが残念ですね」
「すげぇな他の世界の人間。メリーに言ったら何とかならねぇかな」
「魔力でも込めて貰えば何とかなるかもしれませんが」
  小さなプレートの上で踊る光で出来た少女の姿を、カグリエルマは瞳を輝かせて眺めていた。子供のようだ。
「動画もありますが、再生してみます?」
「それ、俺に解る言語?」
「……解らないかもしれません。失念していました、ごめんなさい」
「いやいや、面白そうなら教えて」
「喜んで」
  絨毯の上で楽しそうに店を開いていたアルヴィティエルとカグリエルマを、離れた場所から動物園の珍獣を見るように眺めていたノイズフェラーはにやりと笑って声をかける。
「ポルノならいいんじゃねーか?その辺にあっただろ」
「マジで?見る見る」
  俄然やる気で、違う意味で瞳を輝かせるカグリエルマ。アルヴィティエルはそんなものを買った覚えが無かったので、半眼になった。
  それらしいパッケージは無いかと土産の山を漁っていたカグリエルマを尻目に、隙間から手のひらサイズのプレートが飛び出してきた。きっとこれらを作った人間にとって、その現象こそ不可思議に違いないのだが、魔族に慣れたカグリエルマにとっては余程自然だった。
  ノイズフェラーが指先を曲げただけで、プレートから淡い光が漏れる。空中にぼんやりと肌色が滲み、直ぐに映像が固定された。
『ア…!いやぁ…!ああっ!』
「ぶ…ッ」
  響いた音は紛れもない喘ぎ声だ。前段階で何があったのか解らない真っ最中のシーンが再生されている。
  渇いた喉を潤すためにグラスに口を付けたカグリエルマは、口に含んだ酒をそのまま吹き出した。正面のアルヴィティエルは咄嗟に避けた。
「カ…、カグラ?」
  カグリエルマは元から男が好きだった訳ではない。メリアドラスと関係を持つようになった今ですら、女の裸を見て喜ぶような性格をしている。例えばメリアドラスそっちのけで、ショーパブの女達にチップを渡していたりするので、アルヴィティエルはこの反応に戸惑った。
  ノイズフェラーが小細工を施して再生させたのだろうホログラムを、全く興味が無かったので目を向けていなかったけれど、改めて確認すれば原因は自ずと解る。もし当事者になれば、自分も酒を吹き出しているかもしれない。
  獣のような激しさと、濃厚な絡み合い。殆ど泣き叫ぶような喘ぎ声に割に、その表情は淫蕩に耽っている。
「ちょっと、悪い、それ止めて。むしろ壊せ」
「ええと…、はい」
  所々他言語が混じる動画は、カグリエルマに意味がわからなくて良かったとアルヴィティエルは申し訳なく思う。はしたないというか下品ですらある。ノイズフェラーに対して確かな殺意を覚えた。いつものことではあるが。
  仕掛けるだけ仕掛けて止める気のないノイズフェラーは、悪戯が成功した子供のような顔で様子を見物していた。横目でメリアドラスを確認すれば、彼は不機嫌そのものだ。面白くない。
「あのクソ親父、ほんっと最悪だ」
「そうですね…。すみません」
「あんたに謝られてもな…」
  頭を抱えたカグリエルマに心底同情する。
「よく探して来たよあんなもん」
「知ってたら止めました」
  映し出された動画は確かにポルノだった。だが想像とはかけ離れていた。
  オレンジ色の髪をした『青年』が、黒髪の『青年』に後ろから貫かれているという内容でなければ、そして微妙な熱を燻らせたままという状態じゃなければ、カグリエルマはもう少し余裕が持てただろう。
  漸く動画を止めることが出来たアルヴィティエルは、カグリエルマの首筋が朱く染まっている事に気が付いた。
  敢えて口には出して居なかったが、アルヴィティエルもこの世界に訪れる直前までカグリエルマが何をしていたのか解っている。いっそ開き直って茶化すと予想していたのに、羞恥で顔を上げられないほど狼狽えるとは思わなかった。
  つい出来心で、首筋を撫でてみる。
「ひ、ぁ…!」
「……」
  大げさに肩をびくつかせたカグリエルマが、口を突いて出た甘い悲鳴と、そんな触れ方をしたアルヴィティエルに驚いて顔を上げた。咄嗟に唇を手のひらで覆う。驚愕に見開いた瞳の目尻も朱い。本人も意外だったらしい。いつも余裕に溢れた姿とは正反対の初心な反応。
「…案外可愛いんですね」
  そんな感想は、はっきり言って嬉しくない。カグリエルマは後退った。
  今は駄目だ。この部屋は魔の気配が濃すぎて、意識して押さえ込んでいるにもかかわらず気を抜くと思い出しそうになる。どんなポルノを見ようと自分に重ねるという事は無かったのに、寄りにも寄って自分たちと同じような配色をした者の絡みを見せられてしまうとは、意識しない訳がない。これが人間相手であれば過剰な反応などしないだろう。魔力の影響というものは馬鹿に出来ない。
  助けを求めたい相手は直ぐ傍に居るけれど、むしろメリアドラスに近寄られた方が拙いことになりそうだ。だからカグリエルマは敢えてあちらを見ないようにしている。
  カグリエルマの必死の防御に、少々興味を覚えたアルヴィティエルが追い打ちをかけてきた。清純だと思っていた相手がやはり魔族だと解ったところで救いにはならないし、逃げ場が何処にもない。
  流石に見ていられなくなったメリアドラスが救出に行こうと一歩踏み出したが、ノイズフェラーが長い足を伸ばして遮った。軽蔑の視線を向けるが、魔王には通じないらしい。
「酒くらい出せよ」
「……」
「お前、俺の絞り滓から出来てるくせに愛想がねぇな。あの人間に振られるぞ」
「無駄口は閉じていろ」
「ほんと可愛くねぇ。…まあいい、酒くらい傲ってやろう。俺は今気分が良いからな」
「私は腹立たしい」
  そんな悪態は蚊ほどにも思わないのか、ノイズフェラーはどこからか取り出したグラスをメリアドラスに放り投げた。並々と注いで、自分は瓶に口を付ける。
  思い返せば、こうやって酒を交わすなど今まで有り得なかったことだ。
「いい肴だな」
  魔王の視線の先には、アルヴィティエルとカグリエルマが居る。獲物を追い詰めるアルヴィティエルというのは大変珍しい。ああいう姿を見れば、元は何であれ彼も立派に魔族だ。
「俺なら有無を言わさず喰っちまうぜ。どうせなら四人でやるか」
「戦争でも引き起こしたいのか?」
「カグラを堕とせよ。どうしてアイツを仲間にしない」
  魔物なり魔族なりしてしまえば、性のボーダーは低くなるだろう。それは深淵の王が唆す堕落の罠だ。眷属となれば、容赦はない。
「隷属させる気はない」
「代わりにお前が飼われるのか?地に落ちたな」
「褒め言葉だ」
「ぬかせ」
  底の見えない闇色の瞳は、嗤っているようでいて冷酷だ。カグリエルマを嬲り殺さない理由はその方が魔王にとって愉快だからに過ぎない。おもちゃの数は大いに越したことはないだろう。
「ま、俺もアルヴィティエルに嫌われたくねぇしな」
  カグリエルマにとっては大変遺憾だろうが、魔王から見ればじゃれ合っているようにしか映らない二人を眺めて酒を呷った。何箱も買い占めてきて満足出来る味だ。気分が良い。
「そんな台詞がお前の口から聞けるとは」
「褒めるなよ」
「…用が済んだらさっさと帰れ」
  くつくつと喉で笑う姿はメリアドラスにそっくりだった。それを面白くないと顰め面を浮かべたメリアドラスは、ついに逃げ出してしまったカグリエルマを捕まえ損ねた。
「待て。お前には俺直々にいいもん見付けてみたんだからよ」
  差し出された紙袋を渋々受け取って中を見たメリアドラスは、己と殆ど同じ成分で出来ている親を恨めしく思った。性格は真逆だが、根底は似ている。
  これをカグリエルマに見せれば、場合によっては暫く口をきいてくれなさそうだ。だからといって返すのは勿体ないので貰っておくけれど。
「人間の考える物も中々えげつなくて良い趣味だろう?」
「人間に同情する」
「吹くなよ。ちゃっかりお持ち帰りするくせに。後で感想聞かせろよ」
「二度と来るな」
  もういい加減付き合いきれない。無意識に漏れる色香を振りまくカグリエルマの魅力に抗うのも馬鹿馬鹿しいではないか。
「腹括って最後まで付き合いな、メリアドラス」
  追いかけようとした息子を、真名を読んで止めた魔王がにやりと笑った。

 

***

 

 逃げ込んだ場所は館の調理場、台所だった。これ以上のアルコールは拙い。水が欲しい。
  カグリエルマは蛇口を捻って水を確かめ、冷たい流れに両手を差し込んだ。掬って一口飲み干して、そのまま一度顔を洗う。どうせならもう一度冷水でも浴びたいが、誰も見ていなくたって服を脱ぐ勇気は無かった。
「機嫌が悪いな」
  優雅な足音を響かせ、静かな低音が語りかけてくる。
  口調と声色は吸血王そのもの。ゆっくり振り返ったカグリエルマは、眉を顰めた。確かにそこに居たのはメリアドラスと全く同じ姿の人物だ。衣服や瞳の色、髪の長さまで本人かと思う程。
  だが、解るのだ。彼は違う。
「…出来るもんならアンタをぶん殴りてぇよ」
「燻ったままだろう。続きをさせてくれないか」
  どこか困ったような笑みを浮かべて近寄ってくる姿を睨み付け、カグリエルマは長嘆した。自分でなければ見破れない程には見事な擬態だ。
「寄るなアホ。俺にその手は効かないってのに、よくよく懲りねぇよなアンタ」
「何を言っている…?」
「いい加減にしろよ…。ただでさえ邪魔されてむかついてんのに。ミストでも犯すぞ」
  冗談はやりすぎると不快だ。カグリエルマは腕を組んで啖呵を切った。ダシにしてしまったミストには申し訳ないが、先程あれだけからかってくれたのだから相子だろう。
  すると、目の前の男は偽悪的に唇の端を吊り上げて見せた。邪悪な笑みは、メリアドラスのものではない。
「お前、抱くほうもいけるのか」
「…ミストだしな。勃てばやれんだろ」
「だったら私を試しても問題ないだろう?」
「本気にするな冗談だ。ってか、メリーの真似は止めてくれ。気持ち悪い」
  気持ち悪い、というより正確には気まずい。今は拙い。余裕がない。こと性的な方面では、魔族の親玉を相手にするなど分が悪い。少しでも隙を見せてしまえば付け込まれる。
「真似?殆ど同じだろう。何を拘るんだ」
「殆どってだけで要するに別人じゃねえか。それに、アンタは俺にキツつぎる。気配が濃くて無理だ。何度振っても試すって、どんだけ懲りないんだよ。俺はメリーがいいんだってば」
「こう、息子に負け続けるというのは癪だな」
「は?」
  思ってもいないことを告げられ、カグリエルマは間抜けな声を出してしまった。むしろ横にミストのような極上の相手を侍らせて置いてつまみ食いを考える性格が理解出来ないけれど、それ以前に彼はメリアドラスと張り合う気だったというのか。有り得ない。
「馬鹿じゃねぇの?」
「…お前の暴言は本当に心地良いな」
  アルヴィティエルも相当なものだが、カグリエルマは本心に近い。魔王が垂れ流す魅惑には一切惑わされず、差別が無いかわりに畏怖すらない。初対面でこそ恐怖を覚えたらしいが、ノイズフェラーが何者か解ってしまった途端、感情面では恐怖心すら出さなかった。そんな人間は滅多に居ない。だから殺さない。
  ふ、と息を吐いたノイズフェラーは、邪魔くさい長髪を掻き上げた。その様子をカグリエルマはじっと見つめる。野蛮なメリアドラスというのは――見た目だけだが――滅多にお目にかかれないから物珍しいが、中身が全く好きになれない。
「あいつのセックスはどうだ?」
「…何だよ、突然」
「さっきまで随分可愛く啼いてただろ。あいつは上手いか?」
  それこそ本当に馬鹿じゃないかと思う。あくまでも張り合う気なのか。比べるまでもないというのに。長嘆。
「ミストにでも同じ事聞けばいいじゃねぇか」
「あれが素直に答えるたまかよ」
「じゃあ、アンタが下手なんじゃないの?」
「お前な…」
  流石にノイズフェラーも呆れた。硬派な態度は好ましいが、今日は随分と楯突いてくる。原因は何だと考えながら、それは簡単に見つかった。
「何だ。マジで欲求不満か」
「……」
  カグリエルマが今度は黙った。沈黙は肯定と同じ。ノイズフェラーは喜々として顔を輝かせる。余裕が無いなら、取り戻す前に攻め込むが常套。
「イっちまう手前だったもんな、お前。あいつの舌は長いだろう?ああ、指もな。結構奥まで届くんじゃねぇのか?」
「ちょ…、おい」
  制止に声をかけるが、興が乗った魔王は直接的な名詞と表現を交えて追い打ちをかけてきた。何だこれは、言葉責めか。外見だけはメリアドラスと同じなのに、卑猥すぎる単語をそうぽんぽん出さないでいただきたい。カグリエルマは次第にノイズフェラーを見ていられなくなった。
  ノイズフェラーの言葉は、まるで行為をなぞるようなものだ。全く触れられていないというのに、想像力を刺激するには十分。身体が熱を持つ下地があってこそ効果を発揮する。
「アンタ、ホント最悪だ…」
  これ以上の屈辱があるだろうか。いつか覚えていろと吠えたいが、出来れば二度と来て欲しくない。ミストに同情する。メリアドラスを好きになって本当によかった。
「様ぁねえな、人間」
  涙目で蹲ってしまったカグリエルマを見下ろして、ノイズフェラーは勝ち誇った。満足。

「止めたのは本当に『一応』らしいな。カグリエルマへの土産ばかり持って来ておいて」
「置いていくだけでも良かったのですけれど、私も話をしたかったのは事実です」
  一方、部屋に縫い止められてしまったメリアドラスは、何かあれば直ぐに飛び出していける様に力を貯めたまま、アルヴィティエルへと皮肉を吐いた。
「…それにしても、本当に似ていますね」
「似ているも何も殆ど同じだろう」
  腰よりも長い筈の髪は、肩より短くなっていた。魔王が息子の姿を真似たように、メリアドラスは嫌々魔王と同じ見た目を取らされている。服装は変わらないが。何故此処まで付き合わなければならない。アルヴィティエルが感激するとも、カグリエルマが喜ぶとも思えない。
「カグラは人間なのに、よく間違える事がありませんね」
  アルヴィティエルはえらく感心していた。思い起こせば遙か昔、まだ自分が堕とされてそう間も無い頃に初めてメリアドラスと出会った時、夢うつつだとは言え一度間違えた事がある。ほんの一瞬だったけれど。
「ヘメレはニュクスと表裏だ。退魔士であったカグリエルマが魔物の気配にこそ敏感だという理由は確かだろう。嗅覚は魔物より鋭いと見える」
「見間違えるのではなく、貴方だけを感知している、吸血王の気配でなければ、違うと?」
「そうなるだろうな」
「なるほどね。私も見習いましょう」
「…まさか今更間違えるのか、ネブラ」
  そんな筈はない。魔族に染まってしまった今、アルヴィティエルが魔王と吸血王を一瞬でも間違える事は無いだろう。だからただの冗談だ。
「アル、でも結構ですよ?」
「御免被る。あいつに対する嫌がらせでなければ、誰が呼ぶものか」
  そういえば、と思い返す。メリアドラスがアルヴィティエルを敬称で呼ぶ事は少ない。魔王の介在が何かしらなければ、名を呼ぶことすら殆ど無かった。
「貴方は私のことも嫌いですよね」
  薄々気付いていたことではある。だからと言って悲しいわけでもないのだが。
「共々頭痛の種だ。好む道理もあるまい」
  尊大な口調は、見た目こそ魔王と同じだが似てもにつかない。違和感がありすぎて笑い出してしまいそうだ。
「ノイズフェラーと一括りにされるのは癪なのですが」
「ならば甘やかさずに飼い慣らせ。手綱を緩めるな」
「…耳に痛いですね」
  そもそも聖神の属性を保ったまま魔族に堕ちるという暴挙をやってのける相手だ。退魔士以上に質が悪い。これで魔王を尻に敷いているのならまだしも、アルヴィティエルは事態を掻き回すことのほうが多い面倒な性格をしている。平気で組み敷く魔王は、さすが魔を統べる王か。悪食にも程がある。
  余所で何をしていても気に留めないが、自分の世界にまで足を伸ばして引っかき回す相手をどうして好きになれよう。
  鬱々とストレスを貯めていたメリアドラスは、会話の最中でも意識していたカグリエルマの様子が徐々に変わって行くことに気付いた。舌打ち。
「まったく、あの人は…。どうしようもない」
  アルヴィティエルにも解ったらしい。紫色の瞳に険呑さが宿る。
「諸共殴りつけてやろうか」
  地を這うようなメリアドラスの低音。我慢も限界が来た。ざわりと、纏う気配が闇を濃くする。横目でその様子を見ていたアルヴィティエルは溜め息を吐き出した。己の方が地位も力も上位だろうと、魔王と殆ど同じ本質の片鱗を見せられてしまえばぞくりとくる。
「そういう姿は、ノイズフェラーそっくりですね」
  アルヴィティエルの呟きは、姿を消したメリアドラスの耳には届かなかった。
「誰がそっくりだ。確かめさせてやろうか」
  変わりに響いた愉悦混じりの低音に、堕天使はうんざりした。

 

***

 

 メリアドラスが館の調理場へ姿を現した時、忌々しくも魔王の姿は無かった。わざわざ姿を見せない辺り憎しみが増す。暴力のひとつ、悪態のふたつくらい返してやりたいと言うのに。
「うー…」
  膝を抱えて唸るカグリエルマの前に、ゆっくりと近寄った。吸血王は紳士的に跪いて、震える肩に触れた。途端、ひくりと跳ねる。
「…何で俺ばっかこんな」
「大丈夫…、ではなさそうだな」
「メリーの馬鹿。浮気者。甲斐性無し」
「………」
  身に覚えがあったりなかったりする悪態に、咄嗟に返せる言葉がない。だが少なくとも浮気はしていない。
  指先を伸ばして、俯くカグリエルマの耳に触れた。膝を抱えているので表情が解らない。そのまま後頭部に這わせて擽れば、面白いように身体が跳ねた。随分と感度が良い。その土俵に引き上げて行った魔王に対してこれ以上無い殺意が芽生える。引き返して一発殴りたいものだが、カグリエルマを放置しておくほうが問題だろう。
「…一人でとか、今更無理なんだよ」
「カグリエルマ?」
「つうか、何でお前までそんな格好してんだ。まさかミストと何かしてたらキレるぞ、俺」
  腕の隙間から灰銀色の瞳だけ覗かせたカグリエルマは、目の前のメリアドラスを睨み付けた。求める本人に変わりないが、今はそれを笑ってやれる余裕はない。
「…何が起ころうとそれだけはない」
「だったら…。さっさと元に戻って俺をどうにかしろ」
「御意に」
  苦笑を浮かべ、首を振る仕草だけでいつもの姿に戻ったメリアドラスは、凝視するカグリエルマが納得してから鼻先に口付けた。腕が回る。縋り付くような、どこかか弱い力加減に欲情する。舐めるだけでは物足りず、唇を奪った。
「ん、…ふ」
  貪るような強引さで震える舌を絡め取り、無理矢理抱き寄せる。服を脱がせる事すらもどかしく、片足だけ抜いて膝の上に抱き上げた。
「…っ…ん、…は…、ん」
  口付けはそのまま、合間に漏れる甘い吐息を心地よく聞く。城へ戻ろうかと考えなくもなかったが、そんな余裕はカグリエルマには無さそうだ。背筋をなぞり、双丘の間に指を這わせる。つい先程まで丹念に舐め解していた秘部に触れれば、カグリエルマが身を竦ませた。震えは期待だろう。
  せめて苦痛は与えたくない。潤滑油の類は残念ながら持っていないので、メリアドラスは一方の手をカグリエルマの足の間へと持っていく。立ち上がった尖端から零れる蜜を掬い、指を潤す。そのたびにカグリエルマが切なげに啼いた。
  いつもならば抵抗くらい見せそうな物だ。けれど腰を揺らして自ら快楽を追う姿に目眩がした。怪我の功名か。忌々しいが、これほどまで積極的なカグリエルマというのも珍しいので複雑な心境だ。
「メリー、…やばい、かも」
  濡れた指先で再度解し、昂ぶった己の雄芯を宛がった時、息継ぎも兼ねて唇を離したカグリエルマが呟いた。
  ずっとそれを待っていたなど、いくら何でも言えない。先ばかり望む自分の欲求が怖い。カグリエルマはメリアドラスの首に腕を回して泣き笑いのような口調で先を繋げた。
「保たない」
「何?」
  聞き返すな馬鹿野郎。胸中で悪態を付く。同じ館の中では魔王が嗤っている気がする。それなのに、耐えられない。メリアドラスが何より欲しい。
  セックスは好きだが、本来望むものではない快楽を求める自分は、完全に目の前の吸血王に染められてしまっている。
「…も、いい、…はやく」
  それだけ答えて、自分から唇を奪った。
  メリアドラスは追求せず、両手でそこを拓いた。張り出した尖端を柔肉に潜り込ませ、抵抗が無いのを見計らって根元まで突き入れる。
「ひ…ぁ!んん…ッ、―――…!!」
  今までで一番高く啼いたカグリエルマは、堪らず縋り付いた指で爪を立てた。想像していた物はもっとゆっくりとしていた筈だが、身体が欲しがった快楽はこれが正しい。手加減無く根元まで埋め込まれ、限界を越えた熱が一気に弾けた。
「…は…、ン…ん…、ふ」
  ひくひくと痙攣を繰り返す内部の締め付けを感じながら、メリアドラスはうっそりと瞼を開いた。唇はそのまま、貪るように舌を絡め合い、カグリエルマを宥めるように背を撫でる。相当我慢させてしまったというのは、手に取るように解った。まだ満足していないだろう。
「汚名は返上させてもらおう」
  腰を引き寄せて密着しながら、メリアドラスは擦れた声色で呟いた。応えはないが、代わりに回された腕の力が僅か強くなる。
「あの動画など笑い飛ばせるほど、激しく抱いてやる」
「…見てやがったのか、この――…ッあ!」
  ムッツリめ。なじってやろうとした言葉は、しかしメリアドラスが律動を開始した事で告げられなかった。体内を深く抉るようでいて、的確に擦り上げてくる熱に翻弄される。ぐるぐると不毛にしてしまった想像など、現実の快楽には遠く及ばない。
  二人が城に戻るには、もう暫くかかりそうだった。

「若いですね」
「……お前な」
  カウチに押し倒されていながら、館の片隅で始められた行為を聞いていたアルヴィティエルに魔王は呆れる。息子の姿を真似ているのも飽きたので、こちらも元の短髪に戻っていた。
「良い度胸だよまったく。集中しろ」
「貴方が集中させてください」
  機嫌が良いのか悪いのか、そう啖呵を切った堕天使の艶っぽい笑いに、ノイズフェラーはほくそ笑んだ。
「上等」
  どうやらこちらも、魔界へ帰るのはもう暫く後になりそうだ。

  

鳥様へ捧げます!1234567番です!いちじゅーひゃく…、ひゃくにじゅーさんまんよんせんごひゃくろくじゅうなな!リクエストありがとうございます!
気が付いたら毎回同じようなオチになっているのですが、一晩寝かせても上手く発酵しませんでした…。ふがいない。少しでも楽しんでいただけたら嬉しく思います!
ノイズフェラーがものすごく嫌われています。SMとセプクリモのペアだと、どうや肩身が狭いようです。あわれだ。その代わりメリーが何気に棚ぼたでした。
「SM&セプクリモで、旦那の話題で盛り上がりつつじゃれあう嫁sとそれを肴に盛り上がる旦那s」という、ひじょーに面白いお題をいただいたのですが、最初わくわく想像していたのに書いてみれば微妙にズレているかもしれないという!旦那の話題でもりあがってな…っ…。ペアをシャッフルさせてみるほうに重点がいってしまいました。
う。書けば書くほど言い訳になりそうなので、この辺で失礼いたします!ありがとうございました!!
2009/08/19  贈呈

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