CHOCOLAT おまけ

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 ちゅ、と音を立てて、魅朧はカラスの胸元から顔を上げた。上着の前を全てはだけさせ、目に付いた箇所に唇を落としていく。
 もともとカラスは快楽に弱かった。むしろあまり人肌を知らずに生きてきたようなので、その反動とでもいうのか、与えられる刺激を全て甘受する傾向があった。
 初めて抱いたときにそれを発見した魅朧は、それからというもの自分の好み好き勝手に教え込んだ。本人は嬉しくないであろうが、御陰でカラスは快楽に敏感な身体にされてしまっていた。自分でも知らなかった性感帯を覚え込まされてしまえば、カラスは魅朧に抵抗することができない。
 だが身体の相性が良かっただけではないと思えるのは、行為の最中その端端にお互いを求めるような仕草がある所為だった。
 愛情表現の一環であるから、抵抗はしないのだとカラスは思っている。
「ゃ…あっ」
 今まで嬲られていた方と反対側の胸の突起を噛まれて、思わず声が出た。痛いと感じる直前まで歯で圧迫され、ぷくりと立ち上がった先端を舌先で擽られると、勝手に身体が跳ねてしまう。
「ひゃ…、…」
 唾液でぬるりとしているもう一方を指の腹で押しつぶされると、小さな悲鳴が漏れて腰が引けてしまった。魅朧は吊り上げた唇で胸を愛撫しながら、密着させるように腰を引き寄せる。ベルトを引き抜いて下着ごとズボンをずらし、半ば硬くなったそれを取りだした。
「魅朧…ッ!」
「んー」
 焦りを見せるカラスに生返事を返してやりながら、魅朧は自分のズボンを素早く寛げてカラスのものと擦り合わせた。
「ちょ…、あ、あ…」
 剥き出しになった敏感な粘膜を擦られ、同時に胸も甘噛みされているカラスは泣きそうな声をあげた。
 暫く魅朧だけが扱き続けていたが、魅朧の上着を握りしめるカラスの手を外してやり、一緒に握り込んで協力を促した。おっかなびっくり手を離そうとするカラスの手首を取って強制的に触れさせる。
 羞恥にか不満を述べようとする唇を塞いで口腔内も舌で犯し、溢れ出した先走りと口付けの粘着質な音を響かせて聴覚さえも刺激する。
「ん…、ぁ…は…、魅朧…めいろっ」
 奪い合うような口付けの合間にカラスが魅朧を呼んでいた。
「どうした?」
「…ぅン…、汚れ、る…ぁッ…」
 殆ど上着を着たままの魅朧の上で事に及んでいるため、その着衣に弾けてしまったらどうしようと考えた。黒いシャツに飛び散る白い粘液というのは、想像に難くないほど卑猥で、できればそんな事態にはなりたくなかった。
「じゃあ…、脱がせてくれよ」
 くつりと愉悦を含んで呟いた魅朧の言葉に、カラスは一瞬動きを止める。衣服に汚れが付かないようにするということは、脱ぐということだ。しかも脱がせてくれという要望にカラスは浅慮だったことに気付く。
「でも…」
「俺は両手が忙しくてな」
 片手余ってるだろうと文句を言おうとしたが、するりと撫でるように腰を辿られ、その指がさらに奥まった処に触れた御陰で息を詰めることになった。
「そ…やだ…っ」
「まぁまぁ」
「待っ、…ンンっ…!」
 指に絡む先走りを塗り込むようにくるりとなぞり、静止も聞かずに突き入れた。指の根本まで含まされ、ひくりと戦いたカラスは首を反らせた。数度抜き差しを繰り返しては引き抜き、潤いを増やすために先走りを掬い取っては塗りつけた。
「カラス」
「ん…んぁ…、ア…」
「汚れるんだろ…?脱がせてくれ」
 見上げて笑う魅朧を涙目で睨み付け、カラスは奥歯を噛んだ。前と後ろを刺激されて、走り抜ける快感に身体を揺らしながら、カラスは震える指で魅朧の上着の釦に触れた。
 釦を外そうとする度、魅朧が中を掻き回す。柔らかくなった後庭を意地悪く嬲り、カラスの痴態を眺めてほくそ笑む。
「指が止まってる」
 指摘してやれば眉根を寄せて切なそうに睨み付けてくる様が堪らない。下から外していったボタンは、あと二つほど残っている。
 喉の奥で笑い、ふと置きっぱなしの小箱に気がついた。ずるりと指を引き抜いて、残りより空欄が多い仕切りの中から一粒取り出す。飾りのように付いていた岩塩は、チョコレートが割れないように丁寧に爪で剥がし落とした。
「めいろ…?」
 前後の刺激が急に無くなり、緩慢な仕草で問うカラスに意地悪い笑みを返してやる。お互いの欲望を擦り付けていた、濡れた指で今まで弄っていた秘部を押し広げ、摘んだ丸いチョコレートを押し当てた。
「…なに…っ?」
 指とは違う硬く冷たい感触に、怯えた小さな声を上げる。
 潰れないようにゆっくりと押しつけて、ひくりと食むような動きをする柔らかい肉の中に埋め込んだ。
「あ…!何…やッ…あ、あ…!」
 今まで感じたことがない異物を含まされて、信じられないというようにカラスが魅朧を睨み付ける。しかし、奥へ奥へと押しやられてその一点を掠めたときには子猫のような甘い悲鳴を上げさせられた。
「あんまり力入れると割れちまうぜ?……ああ、その前に溶けるかもしれねぇなぁ。口ん中より熱いんじゃねえか、ココ」
「だか…ら、…なに入れ……っ」
「なんだと思う?」
 押し戻されないよう栓をするために体内に指を残し、空いた手で小箱を振って見せた。
「それ…」
「うん」
「…うそ、だ…。……まさか…」
「……うん」
 にやにや笑って肯定してやれば、衝撃に固まったカラスの頬が羞恥に赤く染まる。次の瞬間、暴言を吐く前に手が出た。
「ばっ……!!」
 馬鹿野郎、と拳が振り下ろされるより早くその手首を掴んで、中断されたままのお互いの性器を握らせた。少し伸び上がって唇を奪い、舐め取る。
 快楽に二の句が継げなくなったカラスは、ひんひんと鼻をならして泣きそうに成りながら、魅朧の施す愛撫に身体を震わせた。
「イっても、いいんだぜ?」
 カラスの手ではだけさせられた着衣の御陰で、綺麗に筋肉の付いた胸や腹がさらけ出されている。
「や…ぁ…ぅン、…めぃ…ろッ!」
 ぐちゅぐちゅと音を立てて敏感な先端を指で擦られ、後ろでは入り口を指で浅く抽挿されて、カラスの目尻に涙が貯まった。蠢動する内壁が引き込むような動きを繰り返し、その淫猥さに魅朧は喉を鳴らす。熱で溶け出したのか、うっすらと甘い匂いが香った。
 ひくひくとカラスの腹に力が入り、そろそろ限界かと悟った魅朧は、先走りを漏らす小さな入り口をぐりぐりと指で刺激して、残りの指は絞り出すように這わせた。
「ひンっ…ぁ…、あ、あ…あッ…!!」
 途端に嬌声の質が上がり、秘奥が指を締め付け、ビクンと身体を強張らせたカラスが達して欲望をはき出した。熱い残滓がびちゃりと腹の上に落ちた事を、その熱で知る。かける方が得意だし好きなので、かけられる事は好みではないが、こういう場合は別かもしれないと共通で都合のいいように解釈する。
 快絶で淫靡に歪む顔をしっかり目に収めた魅朧は、
「は、ぅッ…」
 と、カラスがきつく目を閉じて俯く様子を不思議そうに眺めた。
 達した時の顔などまじまじと見せてくれる物ではないので、その可愛い表情に酷く欲情するのだが、その後の堪えるような仕草はどうしたのだろう。いつもはそんなことをしないのに。
「カラス…?」
 呼びかけてやれば、小さく呻くばかりで返事がない。流れ込んでくる感情は、艶めいたものではなくて酷い焦り。心配になった魅朧は、もう一度名前を呼んで顔を覗き込んだ。
 下唇を噛みしめているのが痛々しくて、止めさせるためにぺろりと舐める。
「どうした?そんなに嫌だったか?」
「………ちが…」
 伏せた涙目で呟き、ふるふると首を横にする。耳が真っ赤になっているので、どうやら恥ずかしいようだった。先を促すように引き寄せてやれば、もじもじと腰を揺らしながらカラスが呻く。
「…中の…、…っ…」
 掠れた囁きで合点がいった。
「あー…。割れたか」
 魅朧にしがみつきながら小さく頷いたカラスをあやしてやり、浅く含ませていた指を奥へ這わせる。
「や…ゃ…、駄…目…だっ…」
 理由がわかってしまえば、蚊の鳴くような抵抗の声も可愛いものだ。
「あれだけ締めれば割れるよなぁ…?舐めたら甘いかも―――」
「死ねばか最低だ」
 慌てて遮った照れ隠しの暴言にくつくつと笑って、含ませた指で粘膜に擦り込むようにぐるりと掻き回して引き抜く。カラスの吐きだしたものを自分の怒張したものに塗りつけて滑りを増やし、魅朧は両手で双丘を掴んだ。
「俺もイかせて?」
 カラスが好きだと知っている低音の声で囁いて、硬く張り詰めた熱棒を突き入れた。
「ひぁ…あ!」
「……熱…、酒の所為か?」
「あッ…んゃ…、や、あ…ぁ…!」
 無責任に感嘆した魅朧は、カラスの腰を引き寄せて深くを抉った。喘ぎながら必死にしがみついてくるカラスに嗜虐心を擽られる。そこそこ限界に来ていた魅朧は、絡み付ききゅうきゅうと締め付けてくる内壁を乱暴に穿った。
「すっげイイけど、俺のは食い千切んなよ…?」
 律動の合間にそう揶揄ってやれば、カラスが爪を立てて噛み付いてきた。

 来年は、チョコレートは贈られないかもしれない。

  

魅朧が下品でごめんなさ…ッ!
2006/2/20

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