Rubdown

Starved-Mortal""short story

「あっ………!!」
 荒く息を吐き出す。二人分の体重を支えるベットが、その重みに軋んだ音を立てる。
「…んんっ………っ…!」
「……ここか?」
「…ぁ、…そ……やっ…!!」
 一方的に声を上げさせているメリアドラスは、心底楽しそうな、底意地の悪い笑みを浮かべた。
「すごいな…。ずいぶん硬い」
「うるせっ………んっ…」
「この辺りが、イイだろう?」
「ぅあっ…ヤっ…あ、ぁ……っ…!!」
 その一点を責めるたびに、カグリエルマの肩がびくりと跳ね上がる。
「嫌がられても困るが。お前が、『してくれ』と望んだんだ」
 くつくつと喉の奥で笑って、指に力を込めた。耐えきれなくなったのか、薄く涙目になったカグリエルマの瞳がメリアドラスを捕らえる。
「どこが、いい?」
「………っ……」
「口で言わないとわからないぞ?それとも、もう止めようか?」
「……待……って…、も…少し…」
「そんな目で睨むな。虐めたくなる」
「なっ……ぁ…痛…あ、ぁっ…やぁっ……あっ…!!」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 雄叫びともとれる少女の怒声が室内に響いた。大人しく読書に勤しんでいたメフィストだったが、むんずと本を握りしめて音も高々に床へと叩き付ける。そのままびしっと指を突きつけた先に、二人の男がいた。ベットの上に。
「気色悪い声を出すんでない!!普通にできんのかお主らわぁぁぁ!!!」
 怒り心頭。ばりばりに毛を逆撫でた猫の様に、それはそれは機嫌が悪かった。
「メ…メフィ…?…顔怖いよ?」
 珍しく怯えたカグリエルマが、うつ伏せた体勢のまま頭を上げる。
「黙れカグラ!!元はと言えばお主が悪いのじゃ!魔物でもないくせに、魔物に混じって動こうなんぞ笑止千万!わらわにも劣る体力と筋力で、無事で済ませるはずがなかろうに!」
「いや…まぁ、そうです。ハイ」
「その筋肉痛は自業自得じゃ!しかも我らが王にマッサージまでされくさりおってぇぇぇぇ!!!」
 だんだん、と地団駄を踏む美少女はどこか可愛らしい物があったが、怒鳴られた本人はそれどころではなかった。
「ええいっ!そこえ直れぇ!!わらわが成敗してくれるっ!!」
 素早く移動したメリアドラスの後釜に、メフィストはベットまで走り、そのまま勢いよくカグリエルマの上に飛び乗った。
 その直後、絹を裂くような超音波の悲鳴が城の最上部から聞こえてきたことは言うまでもない。

  

一度はやってみたい小咄シリーズその@。ラブダウン、マッサージの意。ラブダウンって読みだけ聞くとなんかどっかのホテルみたい。
2003/09/09

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