喧嘩

Starved-Mortal""short story

急に目がさめて、のそのそと体を起こした。
どうやら素っ裸で眠っていたらしい。
シーツがごわごわしているのが気になったが、取り敢えず感じなかったことにした。腰というかもっと奥のほうがじんじんする。その割に不快感が少ない。ああ、後始末とかしてくれたわけか。
溜息を付きながら横を見下ろせば、黒髪がシーツに散っていた。
幸せそうに眠っているのがむかついて、鼻をつまんでみる。起きてるくせに。
途端に長い腕が腰に巻き付いてきて、そのまま顔を擦り寄せてくる。やっぱり起きてた。
はぁ、と、もう一度溜息をついて。
おかしいな、昨日まで俺達喧嘩してたんだよな。
言い争いが殴り合いまで行きそうになって、ああこれはやられるな、と思ったら。振り上げられた手は顔を殴る代わりに顎を掴まれた。
そのまま窒息させられるような濃厚なキスをされて、気が付けば応えている自分がいた。
後はもう、訳も分からぬまま、お互いの服をむしり取ってみて。暫く触ってもいなかったなんて気が付いたら、変わってるところとかないか探し出してみた。
体だけ熱くなってるのに、お互いの目つきが妙に苛々してるのが可笑しかった。
痛いなと思いながら、もっと気持ちよくなれることを知っているから、途中からは自分で求めてた気がする。それも必死で。
いま思い出したら恥ずかしくて死にそうだけど。
でも、まぁ。
あんな顔で、あんな声で、俺のこと呼びながらイってるんだとわかったら。
喧嘩してるとか馬鹿馬鹿しくなって。
気失うほど飛んだらしい。

そういえば、喧嘩の原因って、なんだっけな…。

  

カグラ視点
2005/11/21

copyright(C)2003-2008 3a.m.AtomicBird/KISAICHI All Rights Reserved.