喧嘩 3

Starved-Mortal""short story

 ベルトを外し、下着と一緒にズボンを引き下ろす。まさぐるような愛撫だけで立ち上がったカグリエルマの中心を根本から舌先だけで舐め上げて、押し殺した喘ぎにニヤリと笑って見せた。
 膝裏に手を入れ、ぐっと両足を開かせる。全てをさらけ出すような恰好に、カグリエルマはわずかな抵抗を見せた。しかし足の間に陣取るメリアドラスの所為でそれはあまり意味を成さなかった。
「…ッ!…や、め…っ」
 興奮で天を向く幹に口付け、双玉にも唇を落とす。そのまま顔を落として閉じられた部分へ舌で触れれば、カグリエルマが悲鳴じみた声を上げた。
 止めさせようと何か言っているようだが、聞く気はない。唾液を送り込んで舌先で解し、ぐちゅ、と音を聞かせるように挿し込んだ。
「ひっ…ぁ…!」
 カグリエルマは、ここを舐められる事が好きではないらしい。引き連れた呼吸に胸が上下し、震えた手で絨毯の毛を握りしめていた。体内を嬲ることができるのは、その本人も知らぬ場所を優先しているようで心地よい。むしろ全身くまなく舐め尽くしてやりたいといったら、どんな顔をするだろうか。
「メリー…ッ、やだ…!」
 左右に首を振って拒絶を表すが、こちらの嗜虐心を煽ることにしかなっていない。本当に嫌ならば無我夢中で抵抗するだろう。
 だが打ち震えるだけなのは、快楽と羞恥によるものだ。その証にカグリエルマの雄芯からはとろとろと先走りが伝ってきている。唾液と混ざり合ってそこは酷く粘着質な音を響かせていた。
「何が嫌なんだ?」
 くつりと笑って、尖らせた舌先を挿入できるぎりぎりまで埋め込んだ。途端に上がる甲高い喘ぎを聞きながら、抜き差しを繰り返してやれば、ヒクヒクと柔肉を締め付けてくる。
 ずるりと引き抜いて、息を付くカグリエルマの耳元へ囁く為に伸び上がった。
「恥ずかしいのが?」
 耳穴を嬲って直接水音を聞かせながら、
「それとも、達きそうなのが、か?」
 笑ってカグリエルマの性器に指で触れた。亀頭の先端から滑りを確かめるように幹を辿る。双球を越え、今まで散々舌で解していた場所に指を押し宛てた。充血した襞をくるりとなぞり、一息に挿し入れる。
「一本」
「ひんッ…!」
 低く囁いてやる。
 二週間も触れていなかったのだ。少しくらい虐めてしまうのは大目に見て欲しい。
「あ、あ…」
「足りないか?……ならば」
 二本目だ。
 うっそりと吐息で告げてやれば、ぎゅっと瞼を閉じた瞳から涙がこぼれ落ちた。その涙を舐め取りながら、嬉しいと思ってしまう自分はやはり性格が宜しくないなと胸中で苦笑した。
 待ちわびていてくれたのなら最高だが、久々の刺激でカグリエルマは息も絶え絶えに為っていた。体奥を掻き回されながら、その感覚に耐えようと必死にしがみついてくる。
 シャツのボタンが二つほどしか留まっていないので、かじり付きたくなるような肩も首筋もさらけ出されている。解け掛けたネクタイを中途半端にぶら下げ、羞恥に染まった表情は淫魔も顔負けだった。赤い舌をちらちらと見せながら途切れ途切れに名前を呼ばれるのが腰に響いた。
「ほら、三本入ったぞ」
「や…あっ…、…ぁ…ふ…ッ…ん…!」
 濡れ戯る後孔を三本の指で押し広げ、体内にある一点を刺激し続けた。強すぎる刺激に喘ぎ、眉間にしわを寄せて震えている姿が卑猥だ。このまま身体を繋げても文句は言われないだろうが、メリアドラスはそうしなかった。
 じゅくじゅくと抽挿を繰り返し、交合の激しさを指で思い出させる。滴り落ちてくる先走りを引き込んで溶けるような熱さを見せる秘部を乱暴に掻き回し、メリアドラスは酷薄な命令を耳朶に唇を付けたままで下した。
「達け」
「…!」
 瞬間、ビク、と肩が跳ねた。
「あッ…ぁ、あ、…―――!!」
 ぎゅうぎゅうに締め付けてくる悦さに期待を馳せながら、メリアドラスはほくそ笑んだ。はふはふと荒い呼吸を繰り返すカグリエルマの首筋に齧りついて、ゆっくりと指を引き抜く。
 途端に、
「ぅ、ン…」
 と熱い吐息を漏らすのが扇情的だ。
 カグリエルマの腹には、指の突き上げだけで放ってしまった欲望の残滓が飛び散っている。ぬめつく白濁を指で掬ってぺろりと舐め取った。
「自慰はあまりしていないようだな」
 3日と置かずに抱き合っていた身体では辛いだろうに。快楽を享受しやすいカグリエルマが今晩どれだけ身悶えてくれるか楽しみで仕方がない。
「馬鹿やろ…」
 逐情でぐったりとしたカグリエルマは、それでも羞恥を隠しきれずに両腕で顔を覆ってしまった。両耳が真っ赤になっているのが可愛いなと、メリアドラスは声もなく笑った。

 さて、これからが本番だ。

  

本番ですが続きません(笑)。
言わせたかった台詞がひとつふたつ残ってますが、またの機会かなぁ。最近喘ぎ声が書けない自分がいます…。
2006/1/30

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