VSeI -Intermission -

Vir-Stellaerrans Interface

「お帰りなさいませ、旦那様」
  それは本当に、この時代では珍しいアンティークの屋敷だった。
  アレクシスは自分が今まで生活していた場所も同じような建造物だったが、これほどまでに博物館級の建物が同じ屋敷だとは思えず、僅か困惑する。
  出迎えた壮年の男性は、いつかテレビで見た執事とかいう使用人に似ていた。まさしくその通りだと知ったのは、目の前を歩く軍人が完全に主の振る舞いをしていたからだ。
「久しぶりだな、ジョゼフ。連絡通りに頼む。暫く書斎に籠もるから、そのつもりで」
「かしこまりました。お飲み物が必要になりましたら、お申し付けください」
  立ち止まったルイは、そうだな、と呟いてアレクシスを顧みた。
「何がいい?そう珍しい物でなければ何でもあるが」
  アレクシスは眉を顰めた。この軍人をどこまで信用していいのか解らない。
「水を。できればボトルのまま」
  するとルイは、執事と顔を見合わせて軽く吹き出して見せた。
「おいおい、それじゃ食事はどうするつもりだ。いくらなんでも携帯食料のパックレーションなんざ出さんぞ?」
  薬物の混入に備えた返答だが、随分徹底していて、なんて味気のない。ルイは苦笑する。
「まあAUGAFFに戻る前に納得できりゃいいか。ジョゼフ、俺はいつものやつで頼む」
「すぐに書斎へお持ちします」
「ああ」
  どこか呆れられたのかと思わなくもないのだが、アレクシスは無駄な会話の一切を省いた。現状について行くのが精一杯なのだと、悟られたくは無い。
  ここは、傭兵を雇いにフォルト協会へやって来た、AUGAFF軍人の実家だった。
  一介の傭兵を自宅に招く軍人が何処の世界にいるのだろう。それも今日、数時間前に出会ったばかりの。何かしらの機密に関わっている役職者の筈なのに、この警戒心の浅さは何なのだ。それとも、何一つ外部に漏れることがないという絶対の自信があるのだろうか。疑問は幾らでも湧いてくる。
  アレクシスは、フォルト協会を出て軍人の車に乗り込んだときには既に、そのままAUGAFFへ連れて行かれるのかと思っていた。しかし協会敷地内を出るまで無言だったルイが連絡を入れた先は、あろう事か彼の実家で、レカノヴァレスタ郊外のそこは、AUGAFF基地とフォルト協会から平等の遠さの場所にあった。
  いくら将官とは言え、この時代、これだけの敷地と建造物を維持していける財力というものは何処から来るのだろうと、さらに軍人に対して疑惑が募る。
「さて、まず、君を何て呼ぼうか?アレクシス・カレル」
  屋敷の二階奥に通され、僅かもせずに飲み物を受け取ったルイは、扉を閉めてからそう言った。
  アレクシスは荷物を持ったまま、やはり答えに窮した。
「…本名だろう?コードネームがあるならそちらで構わない。軍で呼びまわられたくは無いんじゃないか?」
  よく見かける市販品のミネラルウォーターを受け取ったアレクシスは、彼がポットとマグを机の上に置く姿をじっと見つめていた。そしてふと思った。彼は完全に自分を子供扱いしている。明らかに年下だというのは察しているので、憤りはしないけれど。
「コードネームなら、好きにつけてくれて構わない」
  本名を名乗ってしまったのだって、不本意だったのだ。何故かあの瞬間彼に嘘をつけなかった。彼こそサイオニストじゃないだろうか。強制力は感じなかったけれど、逆らえない何かがあった。
「ふむ」
  机を回り込んで椅子にかけたルイは、卓上の端末機を起動させた。アレクシスにはその辺を好きにしていいと、完全に無防備な態度を取っている。
「アレクシスは綺麗すぎるな。アレックス、アレク、…枢機卿はアレクと言っていたな。短縮してACでもいいか。アレク・Cは言いにくい。AC、アレックス・Cは?」
「…なんでもいい」
「欲がないな。俺に本名はバレないようにしてくれと頼まなくていいのか」
「何処にでも居る名前だ」
「そう言うな。軍では俺だけが知っているというのも、悪くない」
  紅の瞳を細めて、ルイは笑った。何が気に入ったのかアレクシスには理解出来なかったが。
「もう少し打ち解けよう、アレクシス。これから長い」
「……」
  ルイは端末を操作しながら、片手でトレイを引き寄せる。ポットから注がれたそれは上質な珈琲の香りがした。
「歳は?」
「IDCを見せようか?」
「俺はお前の口から聞きたい。お前にばかり問うのも卑怯だな。まずは俺の事から話そうか。とりあえずその辺に座んな」
  アレクシスが傍にある椅子の一つに座ったことを確認したルイは、引き出しからシガレットケースを取り出した。
「呑むか?」
「いや、結構」
  宇宙で生活する者で喫煙者というのは珍しい。アレクシスも煙草を呑まない訳ではないが、今のところ必要だとは思わなかった。ルイは黙って肩を竦めて見せた。
「俺の名前はいいな、レイブン・ルイ・ローゼンヴォルト。歳は二十七。通信用にある程度の機材と各種プラントは埋め込んでるが、生身だ。サイオニクスネガティブ」
「…嘘だろう」
  サイ能力が無いだって?至近距離で弾丸を避けておきながら?
  即答したアレクシスに、ルイはにやりと笑って見せた。懐からIDCを取り出して卓上を滑らせた。器用にそれを受け取ったアレクシスは、こんな個人情報をさらっと見せつけてくる相手がやはり未知の生物に見える。
  手のひらにすっぽりと収まるカードを確認して、その何処かにサイオニクス値が記載されて居ないか何度も探してしまう。確かに、国際規格の個体識別身分証の何処にもサイオニクス能力について特記されて居なかった。
「生まれはレカノブレバス。それに書いてあるように、生粋のレブスだ。義務教育後にAUGAFF士官学校を出て、そのまま士官になって今に至る。出撃記録を全部話してたらキリがないから、知りたきゃAUGAFFに着いてから端末で調べてくれ」
「それにしては若いんですね」
「畏まらなくて良い。一応俺が上官になるが、君は客士官扱いだからな。まあ、実年齢の割に地位が高い事は認める」
  その辺はどうやら戦歴と関係あるらしいと、アレクシスにも解ったので何も尋ねなかった。
「で、君の歳は?」
  戻ってきた会話に、アレクシスは何処まで真実を告げればいいのか迷った。枢機卿からの指示は何もない。隠したとてボロが出ては意味もないだろう。
「戸籍上は二十だ」
「…そんなに若いのか」
  これにはルイは正直に驚いて見せた。思っていた歳より随分と若い。見た目通りだとは。
「正確にはなんとも言えない。拾われた時の遺伝子調査で換算してその程度だった」
「せめて二十二くらいにしておこう。それでも殆ど最年少だ。俺の部隊じゃ」
  そう呟いて、ルイはキーボードを叩いた。
  何を記録しているのかと訝しめば、軍の身分証を作っている、という至極まっとうな返答が返された。
「人種は?」
「あなたと同じレブス。性別は男。サイボーグでもないし、サイオニッカーでもない。正直本星以外の活動は初めてだ。他に聞きたいことは?」
「…そりゃ、鍛え甲斐がある」
  不安だとは言わなかった。
「食事と性嗜好を聞いておこう」
  指をキーボードから離し、ルイはマグを啜った。
「必要なのか…?」
「勿論。配給食は好きに選べるし、やばい嗜好を持ってんなら最初から把握しておきたい。IDに記載はしないがね」
「…あなたは?」
  何処までが本当かと、アレクシスは半眼で軍人を睨んだ。
「食に関しては食えりゃなんでもいいが、強いて言うなら肉食だ。酒も煙草もやるが、煙草に関しては基地じゃ滅多にないな。性欲は無いとは言わない。性別も種族も問わない」
「あ、そう」
「節操なしって顔するなよ。言うほど気軽に相手を探せる身分にねぇんだよ。ついでに言うと、未婚。今の恋人は仕事だ」
  そこまで言い切って、ルイはアレクシスを促した。ここで隠すのは卑怯だろう。麒麝も同じようなことを言っていたなと、思い出す。
「一般的なレカノブレバス食なら、とりあえず問題はないけど、敢えて言うなら生ものは避けたい」
「考慮しよう」
「性的嗜好は至ってノーマル、…のつもりだ」
  無表情を繕って告げたアレクシスに対して、ルイは瞳を細めて見せた。彼はアレクシスがどう控えめに言っても見目麗しい部類であることを確信している。
「綺麗なツラして遠慮すんなよ。野郎の味くらい知ってんだろ?確認してやろうか?俺が仕込むのも楽しそうだ」
  今までの、表面上は友好的な態度から一変したルイの口調に、アレクシスは瞬時に冷めて見せた。鮮やかな青色の瞳に冷酷な色が灯る。この手の誘いは、協会の中では殆ど皆無だが、外に出れば幾らでもあった。にっこりと笑って見せる。
「実は俺、ヤバイ性病持ってるけど?」
  落とされた台詞に、一瞬呆気にとられたルイは、直ぐに堪らなくなって笑い出した。
「そりゃいい!その答えは誰でも引くわ。軍隊ってのは修道院とは違うからな、タチ悪い奴等に絡まれても銃抜かねぇなら上等だ」
  だからと言って、性病持ちだと言いふらされるのは気持ちのいいものじゃない。出来ればそんな状況にならないことを、アレクシスはひたすら願う。試されているのだと解っていたが、それでも悔しいものだ。ボトルのキャップを開けて、やけ酒のように水を飲んだ。
「ちなみに、本当に持ってんのか?」
「…尻の穴でも増やしてやろうか?」
「解った解った!お前、いいな、気に入った」
  まだ笑いが止まらないのか、ルイは腹を抱えている。ここまで笑われると、逆に腹立たしい。
「お前を俺の部隊の外にやることは無いだろうけど、自分がそういう対象になるかもしれないってのは、覚えておいて損じゃない。昔は俺もヤバかったくらいだ。女も多いんだが、軍人女は気が荒い。下手したら女にレイプされることもあるからな、身の危険を感じたら俺の部下だと言ってやんな」
「…帰りたくなった」
  軍人は暇なのか。戦時中じゃないから性欲が余るのか、規律が厳しいからか。アレクシスは軍隊に対しての認識をもう一段階下げた。
「恋愛は自由だ。命令と強制と軍規違反じゃない限り」
「俺は仕事で雇われただけだ。それ以外に興味は無いね」
「結構」
  笑い声を潜めたルイは、それっきりだった。
  端末に向き直り、沈黙が降りる。様子を窺っていたアレクシスは、その姿を眺めながら、黙って机に向かう姿は軍人に見えないと無責任な感想を抱いた。会社勤めのデスクワーカーにも見えないが。何というか、雰囲気や容姿が想像していた軍人のそれではないのだ。
「ノア、俺だ」
『コンタクトグリーン。確認した。首尾は良さそうだね?』
「ああ。予定通り対象は確保した。明日戻る」
  突然割り込んできた声に、アレクシスは耳をそばだてた。相手は誰だと問わずとも、十中八九AUGAFFの何某だろう。
「ID情報は送った通りで作成してくれ」
『アイ、サー。ブランクカードを入れてください。5秒で終わります』
「……OK、完了だ」
『では、明日。アレックス・C特別准尉によろしく』
「クイーンにも予定通りだと伝えておいてくれ。じゃあな」
『イエス、サー』
  スロットルから一枚のカードを取り出したルイは、それをアレクシスに渡した。受け取ったままのルイのIDCと交換する。黒いカードに白い文字、深緑色のロゴ。赤いラインがカードの下に引いてある。所属名はAUGAFFセントラルスフィアSOACOMと記載されていた。
「特別准尉?」
「下士官だが、直属は俺。それ以外の命令は無視していい」
「随分な特別扱いだ」
「そうだな。正直俺も特別准尉なんざ初めてお目にかかる。作戦中は駒として使うが、それ以外の安全は保障しよう」
  傭兵を守るとは、また随分な話だ。
  アレクシスは不意に、ひとつ疑問が芽生えた。机一つ挟んだルイに、真剣な視線を向ける。
「なぜ軍人に?」
  ルイはその問いを真っ向から受け止めた。唇の端が僅かに持ち上がる、紅玉の瞳が、妖艶な輝きを放つ。それはどこかぞっとした雰囲気だった。
  軍人は、静かに答えた。正直に。
「殺しの免許が貰えるからさ」
  その瞬間、脳裏に浮かんだのはあの獣の言葉だ。
『破壊がくるよ』
  決定的な違和感。その正体が、今理解できた。
  ルイには在って、アレクシスには無いもの。
  それは、命を奪った経験。
  彼は、とても、危険な男だ。破壊とは現象ではなくて人物か。
  打ち解けられるのではないかと緩んだ警戒心が再びもたげてくる。
「昼過ぎだが酒でも出そうか?これは素面で語れるほど青臭い話題じゃない」
  彼はアレクシスから視線を外さないまま端末を落とした。
「お前を呼ぶために出した金は、観光旅行をさせる為じゃない。無傷で帰れるよう善処はするが、本来の意味でお前の能力が必要になった場合の保障はしかねる。俺も十分イレギュラーな自信があるが、一人で何でも出来る訳じゃあないからな。背中を預けるんだ。本音の一端くらい聞いておいて損はないだろう?
  ところで酒は飲めるのか」
  一遍に捲し立てられ、このペースに巻き込まれてしまうと拙い事になるのじゃないかと危惧を抱く。魅力的な声と口調と容姿に人は心酔する。そこから信仰が始まる。騙されたと感じるか否かで、詐欺と似ている。
「そちらが傭兵に対するどんな認識をしているか解らないが、生死傷含めての金額だ。俺の義務は客の要望に極力近づけるよう努力すること。怪我して訴訟を起こすようなボーイスカウトと一緒にしてもらっては困る。
  そういうことで酒をくれ」
  いつのまにか、アレクシスの呼称が君からお前に変わっている。きっとこちらの方が素なのだろう。ただでさえ年齢や経験値に差がある。切り替えが上手い。飲み込まれるな。
  彼は軍人だ。個体の生命を、大局のために切り捨てることを厭わない。酒や本音云々で煙に巻かせてたまるものか。
  彼は確かに微笑んでいた。
  殺しの免許、という言葉に。
  程なく用意された酒は、机の後ろに並んだ本棚の一角にひっそりと隠されたものだった。グラスに曇りもないので、きっと使用人が毎日掃除を欠かさないのだろう。氷はない。グラスの三分の一程度に、濃い琥珀色の酒が注がれた。生のままでやれというのだ。
「ついでだから、SOACOMが何か教えておこう。事前情報は与えて無かったことだし。契約した傭兵は、契約後、その任務内容に守秘義務がかかる。だから事前情報は無かったんだぜ?」
  グラスを受け取ったアレクシスは、しかし乾杯に応じることは無かった。まだ、見極め終わっていない。ルイは方眉を上げただけで、特に気を悪くした様子は伺えない。
「SOACOM、特殊作戦攻撃部隊、大まかに言うとカウンターテロ部隊だ。加盟国への国家規模テロリズムとテロルに対抗する公式の戦闘部隊で、テロリストの事前殲滅の許可が下りている。統括しているのは俺の上司だが、現場指揮は殆ど俺だ。特に攻撃色の強い出撃を担当する」
「あなたが現場に出て?――…あの戦闘力なら、そうなのか。危機管理的にどうかと思うが」
「それが問題無いんだ。俺は特定条件下で不死身でな。まあ、今は関係ない」
  ルイは一度唇を酒で湿らせた。
「警察の特殊部隊と俺たちの違いが解るかな」
  険呑さを綺麗に払拭したルイは、今度は教師のような口調で戯けて見せた。
「警護、訓練、任務の範囲?」
「それもあるが、一番の違いは『殺人の免許』さ」
「…法律は何のためにある」
「それを遵守しなきゃならんのは警察ってやつで、軍隊には超法規的措置がとられている。根本的な違いってのはそこだ。警察官って名の付くやつらは、犯人を射殺しても一時的に殺人罪が付きまとう。やっちまった後で内々の査問会が開かれるだろう。対テロ部隊員には、警察のように法律に従う必要が無い。テロリストに基本的人権は無いのさ。殺害許可は暗黙の了解だ。
  もっと付け加えてやれば、隊員と――例えば人質がいた場合の被害ですら作戦が成功すれば黙認される。そのパーセンテージも含めて上層部が承認するのが軍隊だ。
  まあ、安全を第一で考えはするが、完全という保障はない。テロリストに対する情を持ち合わせて居ないのと同じくらいに」
  そんなことは考えてもみなかった。アレクシスは酒を呷った。
「レカノブレバスから出たことが無いと言ったな。世界はこの星だけではない。惑星国家内で戦争のない星なんて、ここくらいのものだ。一歩外に出れば、火種はそこかしこに潜んでいる。警察の連中が人命を守るなら、俺たちは彼らが住むその世界を守っている事になる」
  なんて傲慢な。アレクシスは思ったが、口には出さなかった。価値観の違いだ。良いも悪いも無い。どちらかといえば今までのアレクシスは、人質を無傷で救出し、さらには容疑者逮捕が理想とされるような任務を受けていた。
  ルイは口を噤んでしまったアレクシスに、同じく無言で酒のおかわりを注いだ。
「強いて言うなら、俺はテロリストを生かして捕まえるのが嫌いだから軍人になった」
「『殺しの免許』、か…」
「そう。怖じ気づいたか?」
  打って変わった優しさのような物を滲ませて、ルイは囁いた。からかっているのではないと解るが、どこか悔しい。殺せない度胸の問題ではない。彼の説明を聞いた後でも、アレクシスはそこに英雄的なものを見いだせはしない。
「正直帰りたくはなる」
  だから、正直に答えた。
「それは忘れない方が良い。望めば己がテロリスト。自滅するのは自分だ。マインドセットが上手くいかなくなれば、専門のカウンセラーをつけてやるよ」
  一傭兵に対して随分豪勢な待遇だな、とアレクシスは微かな苦笑を漏らした。
  ルイは机越しに傭兵を見つめながら、もしかしたらこれはただの人員補充ではないのだろうと思い始めていた。
  大凡戦闘と名の付く職を手にしていながら、目の前の青年は綺麗過ぎる。見た目もそうだが、気配がだ。フォルト協会の傭兵が何処まで血なまぐさい仕事を請け負っているのか知らないが、戦地へ派遣されることは無いのじゃないだろうか。
  AUGAFFの総帥とフォルト協会の枢機卿は同郷星人だ。ルイに伝えられた話では総帥が提案を持ち出したということだが、逆の場合も有り得た。
  アレクシスを戦士として鍛えるために経験を積ませる。
  そんな可能性が浮かんできた。俺は教官に向いていないんだがな、と胸中でごちる。そうは言っても、きっと階級章の見方から挨拶まで教えなければならないのだろう。傭兵を軍隊に編入だとは、今更ながらなんて無謀なことを許可したものだ。
  願わくば、この青年が良い生徒でありますように、と祈らずには居られなかった。
 

  

幕間です。ものすごい勢いでルイのターンですが、本編が中盤に行くまでアレクが上位に来ないのはもう仕方がない気がします。
幕間なんですが、やりたいことの本筋を詰め込んでしまった気がします。アッー!
ちなみにプロローグ1話でルイが非公式部隊に居る的な表現がありましたが、SOACOM自体は公式部隊です。
2009/07/21

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