VSeI -Intermission - vol.3.2

Vir-Stellaerrans Interface

「……、ニーア」
  体が怠い。
  ルイは意識が覚醒して瞳を開く前に深呼吸した。己の意志で手足が動く事を確認して瞼を押し上げる。怠い。眠りから覚めたのは、人の気配を察知したからもあるが、無意識に呟いた自分の声を感知したからだ。何を口走ったか、覚えていないが。
  私室ではない天井をぼんやり見つめ、腹が減ったなと呑気に思った。
  薬によって眠らされた事は理解している。普段ならば注入された薬剤を勝手に分解してしまえるが、上手く体が反応しなかった。彼にしては珍しく精密検査を拒絶したことも原因だろう。思いのほか強力な物を打たれた。俺は猛獣か。
  セントラルスフィアに帰還した時、部隊を待っていたのは思いも寄らない人物だった。
  事前報告を行っていたため、生存者の搬送だと解っている作戦指揮官であるルイは、中将自らの出迎えに眼光を細めた。医療部が待ちかまえている事は知っていた。しかしSOACOM総司令官スルガ・ヴァン=ウル中将がその場に居ることは聞いていない。いち早く口頭報告を求めるにしては、場が悪い。疑問はしかし、己が拘束されるに至って答えが導き出された。艦橋に残ったノアの遠隔端末体を破壊してしまいたい衝動に駆られる。
  おそらくあの情報分析官は、解明されない事態を有耶無耶にされることを畏れ、ルイに対して命令権がある者に概要を伝えたのだろう。ならばあの時共にいたアレクシスも拘束されるのかと思えば、彼は部隊員達と共に司令部へ移動させていた。元より総帥からの紹介だ、どんな規制がかかっているのかルイが介在出来る筈もない。人体実験じみたものに付き合わせたくも無かったので、その意味では安堵出来たが。
  ノアの判断には怒りが湧くが、彼は間違ってはいない。職権乱用もやりすぎれば咎められる。良い部下を持ったが、友人としてはもう少し時間を稼いで欲しかったと思うのも事実だ。
  スルガはルイの出生を、科学的な面でより理解している。現代医学では解明されない事ではあるが、使える武器が従順ならば使用することを厭わない者だ。精密検査をする前に、少し時間をくれと要求してみたが、中将の暗い緑の瞳が冷酷な色を宿したまま鎮静剤の投与を許可するに至って、あらかた諦めた。生体スキャンにかけられる前、ご丁寧に睡眠剤まで打ってくれたので、ルイには結果がどうなっているのか解らなかった。
  己の能力を振るう事に制約を与えないという条件で、研究材料になる契約書にサインしたのはルイ本人だ。軍人として拒否出来る物ではない。
「起きていたのか」
  短い電子音が響いて、件の中将が病室に顔を出した。
「寝覚めは悪いがな」
  悪態を込めてやれば、スルガはそれがどうしたと言わんばかりの表情を貼り付けていた。彼の後ろに、ノアとハイルが続く。ノアは簡易椅子を引っ張り出してルイの枕元に設置し、中将をエスコートした。
  ハイルが喜々として電子バインダーを操作しながら、体に貼り付けられたセンサーを外していく。ルイは今更抗った所でどうしようもないと開き直り、大人しくされるがままだ。
「で?」
  朝食が運ばれてくる気配もないので、ルイは上体を起こして怠い腕と肩を伸ばしながら尋ねた。
「詳細は受け取ってある。ミッションについては成功という事で問題ない。生存者の回収は褒めよう。君にしては珍しいが、な」
「生きてんだから、殺すわけにもいかんだろ。敵じゃあるまいし」
「お陰で彼は医療部が隅々まで弄り倒すだろう」
「何か問題でも?」
「いいや、まったく」
  スルガは方眉を跳ね上げ、足を組んだ。
「問題があるとすれば、お前だ」
「俺を眠らせて好き勝手調べ回したんだろ」
「ああ。まったく問題点がない。それが問題でもある」
「何故」
「君がそれを言うのか。こちらが聞きたい」
  ルイは上官相手でも構わず舌打ちをした。
  そんな部下の姿を子供でも見る様な態度で口端を吊り上げたスルガが、傍に控えるノアの名を呼ぶ。感情抑制されているロボットのような顔で情報分析官は微かに頷いた。
「作戦行動中、予定外の時間経過消失を、出撃した遊撃隊の全員が体験している。機械である僕にまでそれが及んでいた。今更立証しようも無いが、影響を受けなかった機材は時を正確に刻んだ。8分38秒の空白の間、君は何をしていた」
「俺にも空白だったとは思わないのか」
「まさか。体感が戻ってエンスージアスモスは消滅していた。それに自分が身に纏ったマーシャルスーツが何を記録しているのか解らない君じゃない。改竄しなかったのだから、説明義務がある」
  ルイは無機質なノアの声色に、眉間の皺を深めた。
  帰還までの行程、その自由になる間中自分が何をしていたのか理解している。報告書一枚ですら手を抜かないルイにしては些か杜撰だった事は否めない。開示している己の能力と肉体特性以上の知られたくない物については冷静に欺いて来たのだ。今までは。一種のチート的位置付けであるが、不利益を生じさせているわけではないと知り得る者達は暗黙の了解をしていた。そのツケが、今だ。
「詳しい作戦内容はさておき、貴方の肉体について細胞レベルで覗かせてもらいました。左腕をどうしたんですか?」
「どうもこうも。ちゃんと在るだろ」
「そうですね。異生物の侵入を受け、自ら切り落としたのは、ソフトの誤記録でしょうか?確かに前回の検査から何一つ遜色ない立派な左腕です」
  触れてこようとするハイルをいなし、ルイはその腕を持ち上げて銀髪を掻き上げた。彼らはルイが五体満足で作戦を成功させた事を褒めるために集まったのではない。
  ルイは顔を上げた。紅玉の瞳でスルガとノアを眺めやり、物騒に眼光を細める。ノアはルイに対して間接的な恩がある。だから進んで協力するし、私的に友人として味方に付いている。けれどその彼がルイに従わない場合の理由は一つだ。
  己の生存を脅かす者の脅威を感じた時。それがノアに残された、人と機械を合成する為に生み出された総合有機機械知性体、『機械の仕掛けの子供達マシンチャイルド』としての防衛本能だ。
「レイブン・ルイ・ローゼンヴォルト准将、命令を下されたいか」
  スルガの冷徹な言葉に、ルイは視線をそちらへ戻す。
「…何を恐れている。俺がエスモスに憑依されているとでも?」
  中将に真っ向から挑んで見せたルイに対して、ハイルの溜め息だけが室内に響いた。睨み合うこと暫し、お互いに譲らない。ルイは何処まで語ればいいのか計っていた。肝心なところは何一つ思い出せないでいるのだから、報告できる内容が彼らの納得する物と何処まで合致させられるか解らない。だからといってアレクシスを引っ張り出すことも憚られる。アレクシスがルイに対して明言を避けた意味が、痛いほど理解できた。及びも付かないお伽話じみた話を、何も知らぬ、しかも部外者である彼らに説明するのは難しい。
  大きく息を吸ったルイは、肺腑が萎む程大仰に長嘆した。
「お前等が何処まで理解しているのかによって、納得できるか変わってくるぞ」
「聞いてみなくては判断できないだろう?」
  武人として培った殺気のような物を引っ込めたスルガが、深く椅子に座り直して先を促す。
「確認する手間を省いた俺が言うのも何だが、マーシャルスーツの記録は、おそらく全て事実だ。俺はあの時一度左腕を切り落とした」
  そこまで告げて、ルイはハイルに向き直る。
「ハイル、お前が一番詳しいだろう。俺を何処まで知っている」
  話題を振られて小首を傾げた医師は、データを引き出すまでもなく貴重な研究対象としての彼の生体データを正確に記憶していた。
「貴方の父系の遺伝子情報は、現存する全てが同一であるという事。しかしそれはクローニング技術ではないという事。現在確認されているどのサイオニクスより強力な能力を保持している事。しかしその能力がサイオニクスではないという事。種族的特徴以上の治癒力や筋力や膂力や反射反応諸々の肉体的能力に恵まれているという事。貴方の意志で、劇毒物または医薬品の効能を無効化できるという事。大小の差こそあれ、一族の能力に差異は見られないこと。貴方は特に特化されているようですけどね。…心理分析は専門外なので省きましたが、まだ必要ですか?」
「いや、その辺でいい。――それで、俺は何星人なんだ」
「…生粋のレカノブレバス人ですよ。有り得ないのですが、本当に紛れもなく、純粋なまでのレブスです」
  ルイは頷く。実際AUGAFFに入軍して検査を許可するまでは、ルイ本人すらどこぞの異星人の血が上手い具合に発現しているのではと疑ったくらいだ。それ程、故郷の人類が持ち得ない特徴を備えていた。
  それがどうしたと言わんばかりのスルガは、同時に複雑な表情を浮かべていた。ルイの面影は、亡き友人と全く同じなのだ。
「並べるとスーパーマンみたいだが、いくら俺でも失った腕をまったく同じに再生させる事はできない」
「そうなんですか?」
「今まで何を調べてんだよ。俺はそっち方面ザルだろ」
「まあ、そうですね。例が無かったので、つい」
  新しい研究でも出来るのかと思っていたハイルは残念そうに肩を竦めた。ルイも倣う。
「ハイル、俺の朝食を頼む」
「は?」
  突然指示された内容に、医者はバインダーを取り落としそうになった。脈絡が無い。
「部隊機密に関わる。俺だけの問題じゃない。いいか、中将」
「仕方がないな。そういう事だ。ご苦労だった、ラ・ザルト中佐」
  案外あっさり同調したスルガに対して、ハイルが不平を述べることは出来ない。いいところで締め出しを食らうが、医者である前に軍人でもあるハイルは罵詈雑言を胸に秘めて足取りも重く病室を去った。彼はこの場で一番階級が低いし、加えてSOACOMメンバーに籍はない。
  十分に時間を置いて、締められた扉へノアの視線が一瞬逸れたことを目視したルイは、病室が施錠密室であると判断した。彼は何も言わずプロテクトのレベルを上げたのだろう。
「レベル5以上、君と同等の機密か」
「そうだ。中将」
  即答したルイは、一度失った筈の左腕を撫でた。
「俺の腕を元に戻したのは、ACだ」
「何だって…?」
「総帥のツテなんだろ、あいつは。フォルト協会に俺と同じような隠し球が居たって事じゃないのか。俺よりアンタの方が詳しい筈だ。部隊員補充を薦めたのもアンタだ。正直俺にも理解が追いついてない。問い詰めたいのはこっちも同じだ」
  一気に言い放って、ルイはスルガの出方を窺った。中将は珍しく難しい顔をして、思案を表すように顎を指先で擦っている。
「お前が言い淀んでいる一端を、理解した」
「だろ」
  嘘を付いているわけではない。これも確かに事実だ。それ以上の、アレクシスが自分にとって何なのか、説明できない部分まで彼らに話す必要はない。上手く誘導できるならば、それに越したことはない。
「…私が銃士の補充を考えていたことは、以前告げた理由に裏はない。それは保障する。総帥が打診してきたタイミングの良さを考えもしたが、利用できる物を逃すつもりは無かった。実際結果を見れば、フォルトが持つ力を把握出来たとも言える」
「だがフォルト協会をAUGAFFの一存でどうこう出来るもんじゃない。敵に回ると面倒だと解っただけでも成果はあるか?」
  レベル5に設定された機密は、軍内部でも扱いを選ばなければならないものだ。上層部に位を持つ者ほど、過敏な反応をみせる。疑われるかどうかはルイに対する信用問題だが、スルガはその点味方に近い。重大性を誰より理解している。
「それだけか、ルイ」
  黙って経緯を覗っていたノアが、変わらぬ無表情で問うた。
「ハイルはあれでいて紳士だ。敢えて報告に入れなかったんだろうが、僕を欺くことはできないよ。文書化されていなくても、生体数値を見れば解ることだ」
「何が言いたい」
「船長室に部下を引きずり込んで二時間以上も性交に耽るなんて、ルイにしては珍しいだろう」
  ルイは思っても見ない方向から攻撃されて、開いた口が塞がらないほど唖然とした。友人として個人的に言って貰いたい文句だ。付き合いの長い上司に聞かれたくはなかった。
「…俺のプライバシーは無いのか畜生が」
「散会するまで作戦中だ。長期遠征でもあるまいし、本来なら減給ものだ」
  中将はどちらの味方にも付かず、老獪に成り行きを静観する構えだ。
「君をスパイだとは勘ぐっていないが、ACとの関係を疑うだけの理由にはなる」
「有り難くて涙が出そうだ」
「ACから何らかの情報を引き出したのならば、その開示を求める」
  寝技で情報を盗みだすような任務を否定しないが、ルイは個人的にその手の物を忌避していた。解っているだろうに、プライドを刺激するのは怒らせたいのだろうか。怒りを表しても勘ぐられるだけだ。苛立ちを殺し、平常心を手繰り寄せる。
「秘匿義務違反は行っていない。ACから情報を引き出すために寝たわけでもない」
「……信用していいのか、それは。まさか本当に何も聞き出していないのか」
「任務にねぇだろ」
  あってもやる気は正直無いが。ついでに言えば、アレクシスはあれで生粋の傭兵だ。自白剤でも使わねば、どれだけ身体を蹂躙しようと口は割らないだろう。ばれれば敵対する火種になる。そんな危険を犯してまでフォルト協会を探るような任務は何処を掘り下げても与えられていなかった。
「だが、俺の能力と無関係だとは言わん。体感時間消失前後でエスモスを消滅させたのは、あいつと俺の利害が一致していたからだ。どっちの力か、解らんがな。隠してるわけじゃない。本気で区別がつかない」
  自分が何か莫大な力を振るった実感は無かった。空白の時を生み出したのはアレクシスだ。脅威が去ったと断言したのも。だが実感が無かっただけで、能力的な属性を考えてみると己の何かを利用されたのではないかと、今になって思えてくる。
「お前達は無神論者だが、実は私は有神論者でな」
  ルイが職務を一時的に放棄して性交を行っていた事について、何処か面白可笑しく聞いていたスルガが椅子を軋ませながら唐突に告げた。
「ルイの持つ力は、時に人類の枠を越えていると感じる」
「…耄碌するには早いぜ、おっさん」
「レベル5機密を容認する者達は、多かれ少なかれ深層心理ではその存在を信じているのさ」
「…中将閣下、上層部への信頼を揺るがせるような発言は、僕には控えていただけませんか」
  ルイもノアも、それぞれ理解不能とでも言うような表情を貼り付けて低く唸る。己が確認した物でなければ事実と受け止めないノアは特に顕著だ。
「忌々しいエスモスの存在も似たり寄ったりと言えるだろう」
「あれが天罰だとでも言うなら、僕は辞表を書きますよ」
  殆ど本気で告げたノアに、スルガは「君は資材だから受理されないさ」と笑いながら応える。ルイはどちらにも同意見だったが、発言が無駄に思えて口には出さなかった。
「我が軍の敵撃破確率を知っているかい?」
「82%です」
  突然の話題転換に、ノアは主旨が読めぬままデータを引き出して即答する。
「その通り。では、それが驚異的な数値だということは?」
  次に出された質問に対して、ついて行けないと取り残された二人が一様に黙った。
「生物には、同族を殺害することは忌避すべきだという本能が備わっている。惑星諸国が保有している自衛軍の敵殺害率は20%前後だという数値がそれを表していると言っていい。兵士の選択肢は闘争、逃避、威嚇、降伏の四種に集約されている。近戦で最も選択されるものは、威嚇だ。古典的な物でいえば、使用された弾薬数と殺した敵兵数を比較すれば解ることだ」
  スルガは一度言葉を句切り、ゆっくりと腕を組む。珈琲でも持って来ておけば良かったと場違いに考えた。
「我が軍は人類と分類される者が主兵士だが、その種族は雑多だ。同族殺しを拒絶する本能を押さえ込むため、配属先は計算されている。だから狙いが逸れることは少ない。戦い、殺さねばならない相手に対し、逃避と降伏を選ぶ兵士が殆ど出現しない。同族でないのならば、罪悪を感じず屠る事が可能だ」
「…何が言いたい」
「ただの一般論さ。SOACOMメンバーは特殊だ。迷い無く闘争を選ぶ者を餞別している。神だろうと悪魔だろうと、例え同族だろうと敵ならば殺せる。エンスージアストと化した人間だろうとね」
  スルガは目尻の皺を刻んで笑った。
「お前は特に容赦がない。カウンセラーがまったく必要ないほどだ。どれだけ兵士として優秀な者でも、憑依された同族を殺す事に無意識下で一瞬迷う。その中身を感知すれば直ぐに攻撃出来るから問題はないけれど。そんな目視判断も出来ない迷いが、君には無い」
「何か問題でも?」
  ルイは、病室へ事情聴取に来た彼らへ投げかけた時と同じ台詞で問うた。
「問題は無いが、時に私は、君が怖い」
「初耳だ」
「牙を剥かれて、我が軍が勝てる相手だとは思っていない、という事だ。飼い慣らせているのは、君の意志が有ってこそだろう。そのような意味で君が人類の枠を抜けているのではないかと、私は思っている」
  実際、やろうと思えば、このセントラルスフィアを壊滅させることくらい出来るだろうとルイには解っている。ここはレカノブレバスに近い。害すると判断したら、おそらく迷わない。その確信は、アレクシスの存在を知って確かになっていた。どうしてそこで故郷を思い出し、また自分が一体何者であるか、明確な答えを思い出してはいないけれど。
「世捨て人になるのは面倒そうだ。俺はこの職が結構気に入っている」
「その答えを聞いて安心した。君は我が軍の誇る生きた最強兵器に成りうる。簡単に手放してしまえるほど、AUGAFFは小さな組織ではなくなったから」
  満足気に笑ったスルガは、それ以上聴取することはないという意思表示に立ち上がった。何処か釈然としないノアは、追求するにしても命令を与えられていないので渋々椅子を片付ける。
「ノア、データ不足で不満かもしれないが、これ以上何を聞いても意味はない。ルイはエンスージアストではないし、スパイでもない。空白を埋めるに必要なACは、任期満了で除隊している。フォルトに情報提供を選ばせる札をAUGAFFは持ち得ない」
「了解し――」
「ちょっと待て!AC除隊って何だ。早すぎるだろ。俺は聞いてないぞ」
  敬礼を返すノアの言葉に被って、ルイが慌てて身体を起こした。立ち上がるためにベッドから足を下ろした所で、スルガが手を挙げて止める。
「総帥からの指示が下っている。彼は約七時間前に除隊許可を得て、フォルト協会に帰還した」
「………」
  俺に一言あっていいんじゃないか。というルイの本心は、言った所で意味を為さない。寝耳に水だが、契約書にルイの許可を得る事など記載されていないのだ。
「幸いグレン中尉の復帰が本日付で決まっている。問題はない。君も部隊復帰許可を出すから、業務に戻ってくれていい」
  言いたいことは山ほどある。けれど軍属である意味も知っている。ルイはそれでも顰め面を隠さず、「了解」とだけ短く応えた。

  

ノアの原産国は地球圏なので英語を使うという小ネタを入れられませんでした…。
2010/03/25

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